保育士さんの中で、クラスの中に1人、または数人ほど癇癪を起こす子どもがいるのではないでしょうか。子どもが癇癪を起こした時って、対応がとても大変ですよね。
私自身も、子どもの癇癪が出た時、落ち着けるように様々な方法を施してみますが、良い方法が中々見つからず、関わり方もわからず、困り果てていました。
そんな時、専門の先生とお話をする機会をいただき、癇癪についてどう対応していくのかについて話し合いながら、実践をしていきました。
すると、すぐに子どもに変化が見られた訳ではありませんが、少しずつ変化が出てきて、癇癪を起こす頻度も減っていきました。
そこで、癇癪を起こす子どもとの関わりの大変なことや、接し方の解説などを皆さんと一緒に見ていきます。今回の癇癪は嫌なことがあった時に泣き叫び部屋の隅に隠れるAくんの事例を元に解決方法等を紹介します。
※Aくんと同じ年齢の3歳児への接し方の解説はこちらから↓
目次
癇癪とは?
癇癪とは、感情コントロールが難しく、大声で泣いたり叫んだり、奇声をあげたりなどのパニックを起こす行動のことです。
その中でも、納得がいかなかったり、好きなことができなくなってしまった時など、子どもにとって不都合な状況に陥った時に癇癪が現れやすいことが特徴といえます。
などなど、このような不都合があったときに癇癪が出やすい傾向にあります。
癇癪が起きた時の保育士の悩み
では、癇癪が起きた時の保育士の悩みとはどんなものがあるのでしょうか。私の体験談等を元に皆さんと一緒に見ていきたいと思います。
- 泣き叫ぶと子どもが話を聞けなくなる
- 部屋を飛び出すと見失わないように見守る必要がある
- 伝え方がわからず、保育に自信が持てなくなる
泣き叫ぶと子どもが話を聞けなくなる
子どもが泣き叫んでいる時、パニック状態と似たような姿のため、保育士の言葉を受け止められないことが多いです。泣いていると、外部からの言葉が子どもの頭に入りづらくなるため、言葉掛けをして子どもの落ち着きを取り戻すことや、いけなかった事への理解を共有することが難しいといえます。
そのため、声を掛けても無視される、聞いてくれないと、保育士としてどう声を掛けるべきかわからなくなる事があります。また、話しかけるべきなのか、落ち着く時間をつくるべきか迷ってしまいますよね。
部屋を飛び出すと見失わないように見守る必要がある
子どもの中に癇癪を起こすことで部屋にいることができなくなり、部屋を飛び出してしまう傾向があります。その際、やはり園内といっても、どこにいるかを把握していないと、見失ってしまい、大変な事になってしまいます。
子どもの行動に予想ができないため、その途端に保育士は対応をしなければいけません。
また、飛び出して行ってしまった場合、見失うことを防止するために、必ず保育士が1人つく必要があります。
そのため、必要だから仕方ないとわかっていても、保育士が1人取られてしまい、人手が足りない!なんてこともありますよね。
伝え方がわからず、保育に自信が持てなくなる
癇癪を起こす子どもの行動は、どうしても対応がわからず悩んでしまいます。
今泣いている、パニックになっている子どもに何を伝えるべきなのか、そもそも伝えて話を聞いてくれるのか、自分がどのように接すると良いのかわからず、自信を持てなくなります。
私も、対応が全くわからず、保育に対しての自信が持てなくなってしまったことがあります。
癇癪を起こす子どもAくん(3歳児)の事例
では、癇癪を起こす子どもに対しての関わりを解説していきます。
今回は実際に私が一番関わりに苦戦した3歳児のAくんの事例を元に解説をしたいと思います。
癇癪タイプ:泣き叫び、部屋脱走、自傷行為あり
Aくん
①友達と遊んでいたが、保育士の片付けの合図に納得せず、泣き叫んで癇癪を起こす。
②保育士に声を掛けられるが、全く振り向かず、罵声を放ちながら部屋を飛び出し、廊下の隅に隠れ、泣き続ける。
③そのまま部屋に入ろうとせず、保育士が促すがうなずきもせず目も合わせず、廊下の隅あたりでうろうろする。
④抱っこでお部屋に戻るがその際も号泣し、部屋の中でも切り替えができない。
以上がAくんの特徴です。癇癪を起こしながら、自分が1人になるような場所に隠れるのがいつもの流れのようになっていました。
癇癪それぞれの子どもの思いって?
Aくんの事例に癇癪の場面が1つの出来事により、多く出てしまいますが、癇癪を起こすということに、その子どもの心の中の思いがあるんです。
専門の先生からAくんの癇癪の意味をそれぞれ聞きました。
その思いをAくんの事例から見ていきます。
泣き叫ぶ、罵声を言う
普段はお喋りなAくんですが、静かに泣くと言うことはあまりなく、ほとんどが泣き叫んだり、罵声を共に言います。その時のAくんの心情として、何が嫌なのか、何が気に入らないのかを、Aくん本人が言葉で伝える方法がわからない、だから泣き叫んで嫌だと言うことを訴えているんだそう。
じゃあ罵声は?と思い、これも聞いてみたところ、罵声は自分のイライラを隠すために言っているかもしれないとのことでした。確かに、Aくんは泣き叫んでいる時、表情がイライラしたような表情を浮かべてました。
そのイライラを自分なりにコントロールをしようとして、罵声を放っていたという結論に至ったのです。
部屋や廊下の隅に隠れる(脱走する)
Aくんの癇癪の中に脱走がありますが、ただ脱走をするだけではなく、必ず部屋か廊下の隅を見つけ、そこに向かって走って行くんです。
この様子から、Aくんの心情は元々どこかの隅が好きで、自分の感情がコントロールできないと無意識に隅に行って落ち着ける場を作っているとのことでした。
Aくんの癇癪時を思い返すと、隅に行くと泣いてはいるが、落ち着いているなという様子があります。こういった自分で落ち着ける場を探すという目的があって脱走をしている思いがあります。
話しかけられると目を瞑る
Aくんの癇癪中に話しかけると、まるで現実逃避をするかのように、目を瞑って反応を示さないような行動を取ります。
これは、Aくんが自分の話を聞く準備ができていないため、無意識に話を封じているそうです。
Aくんなりのサインとしては、「今は話しかけないで」という思いを表しているとのことでした。
癇癪が起きた時の解決策とは?
上記の内容でAくんの癇癪の特徴や事例、心情について見ていきました。
では、Aくんの癇癪の特徴に沿って、癇癪が起きた時の対応策を専門の先生のアドバイスを元に徹底解説していきたいと思います。
泣き叫んで罵声を言い始めた時
この状態になったときは、Aくん自信の心情がわからなくなっている時です。そんなときに話しかけたり、罵声に対して注意などをすると、悪循環そのものになります。
ここで必要な関わりは、共感をすること・見守ることです。
Aくんが「やめろー!」などといった罵声を言った時は、その思いに共感をしたり、話しかけることで癇癪が悪化してしまう場合は、あえて話しかけずに見守ることが来説になってきます。
泣き叫んでいる時に、日によって違いましたが、抱っこをすることで落ち着くことができる日もありました。その時の子どもの様子に合わせて抱っこをして落ち着くきっかけ作りをすることも必要になってきますね!
廊下や部屋の隅に隠れる(脱走する)場合
こちらはAくんが落ち着く場所を見つけた時に起こる癇癪のため、Aくんの落ち着くポイントを遮ることはやってはいけません。
例えば、癇癪中に無理に抱っこして部屋に戻したり、隅にいるときに強めに叱ったりすることは大きな悪循環に過ぎません。
そのため、飛び出した場合は落ち着くまで、見守りましょう。時間がかかる場合もあるかもしれませんが、この行動自体が短時間で切り替えられることではないとのこと。隅に行って落ち着いたなと思ったら、Aくんが自分の足で部屋に戻るか、抱っこで戻るか、部屋の隅の場場合も同様自分の足で椅子に座るか、抱っこで座るかに対応を変えていきます。
この関わりはゆっくり進めていくことが大切になってきます。
目を瞑る場合
目を瞑るという行為に関してですが、Aくんの場合、自分の感情がわからない、いけなかったことがわからない、という頭の中でパニック状態になっている状態です。その時に話しかけても現実逃避をしたくなってしまうだけですね。
そのため、目を瞑るときは、無理矢理話しかけないように、でも、保育士が独り言のように話してみることで自然と子どもが、目を瞑る→目を開けて保育士を見る、に変わってくる事があります。
癇癪の時は駆け引きが重要!
癇癪の子どもの解決策や心情についてお伝えをしてきました。
癇癪は子どもにとって、自分でコントロールをするのが難しく、どうすればいいかがわからないからこそ起こる現象です。
自分でコントロールを保育士が支援することは、難しいことではありますが、その子との駆け引きを上手く作っていくことで、少しずつ子どものとのかけ合いもできるようになってきます。
駆け引きといっても、簡単にできるわけではありません。しかし、上記の解説と子どもの心情のように、子どもの癇癪の意味を理解し、共感をしながら支援をしていくことで、子どもの癇癪が少しずつ減っていきます。
癇癪に悩まなくていいんです!
保育士として、クラスをまとめて行きたい所ですが、癇癪があると、なかなかクラスをまとめることが難しく、悩んでしまいますよね。
でも悩まなくてもいいんです。悩むと保育士としての自信をなくしたり、辞めたいと思ってしまいます。悩まなくても大丈夫!これは一番に伝えたいと思っています。
癇癪は対応にも難しいと感じますが、1人ではありません。回りの保育士と一緒に癇癪の子どもの支援を工夫することで、癇癪が緩和されていきます。
癇癪に対しては少しずつ!解決できなくても慌てて焦らない事が大切!
ゆっくりと癇癪について、解決をしていきましょう。
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